映画「立候補」(藤岡利充、2013)

決められない政治を嘆き二大政党制導入の失敗を嘆き失望とシニシズムに逃げこむ前に眼玉をかっぴらいて観るべきドキュメンタリー。「泡沫候補」と言われ、なぜ立候補しているのかよく分からない人たちの考えをを知るためではない。それもいいけどもっと本質的に、政治を消費せず、政治に参加するために、この映画を観るべきだ。

むろん泡沫候補とて立候補の動機は一様ではなく、ただの無駄遣いにしか見えない人物もいる。しかし300万円の供託金を払えば誰でも立候補できるという仕組みが担保しているものを考えさせずにはいない。バックグラウンドに挿入される外山恒一の決め台詞がずっしりと腹の底に残る。

何十本かの日の丸を槍のように闇夜に向かって突き立てている多数派の無慈悲な圧力の空恐ろしさを生々しく写しとったイメージはちょっとやそっとでは忘れられない。


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