Obama対McCainのみかた(2)
両候補のウェブサイトを比べてみましょう。
http://johnmccain.com/
http://barackobama.com/
まず気がつくのは、マケインのページは普通にトップが表示されるのに対して、Obamaの場合は寄付のページが表示され、右上に「寄付をとばしてサイトに行く」ボタンが表示されている点です。
6月10日現在、McCainのトップページで中心におかれているのが「Strategy Briefing」。キャンペーンの現状についてスタッフが説明するプレゼンテーションです。これ、最初の2,3分だけでもいいのでちょっと見てみてください。すごく面白いです。
何が面白いといって、このプレゼンはいち有権者に対してというよりメディアとか寄付者に対して自分たちがいかにして選挙戦を戦っているかを説明するものなのです。14分のプレゼン中、McCainの顔は合計で1分も映っていないでしょう。データを様々に引っ張ってきて、McCainがいかに勝つ可能性が高いかを主張しています。Obamaがトップページにビデオを置いたとしても絶対にこういうつくりにはしないでしょう。
と、ここまで書いてObamaのサイトのメインページに行ってみて驚きました。6月10日現在、最も目立つ位置にはなんと
THANK YOU SENETOR CLINTON
の文字と、強い意志を示すような(そしてObamaの顔写真より大きい)クリントンの横顔。下へスクロールしていくと、Welcome Hillary supportersというコーナーが用意されています。Obamaが誠実さをアピールし、これまでの政治家のイメージからの決別を図っている様子が伺えます。まあこれはかなり好意的な見方で、さかんに言われている民主党内のギャップを埋めるという現実的な意図も見て取れます。クリントンの熱心な支持者の多くが、いまObamaのサイトをほとんど初めて訪れているでしょう。そのとき目にするのが「クリントン議員、ありがとう」というメッセージであることで、彼らがObama支持に移ることの心理的障壁が少し下がる。そういった効果をObama陣営と民主党は期待しているのではないでしょうか。
6月3日のミネソタでの勝利演説(約28分)で、Obamaは約5分をクリントンを賞賛することに使っています。
勝利演説の全体はこちら⇒
http://jp.youtube.com/watch?v=gI3FLN1t8j0
相変わらず演説の才能が遺憾なく発揮されています。
"That's the change we need, Minnesota"
一方、McCainのサイトで彼のスピーチを探してみましょう。News and Mediaというタブの"Speeches"をクリックすると、一覧が出てきます。6月3日、つまりObamaが民主党候補に決まった日の彼の演説の原稿とクリップが下にあります。
http://johnmccain.com/Informing/News/Speeches/fdf5f9ab-f743-43a8-aded-5be426db44c5.htm
正直、笑ってしまうくらい動きがぎこちないです。あと、おそらくは不要なシーンをとばすためであろう編集が入ってます。
こうして両者のサイトを見比べてみると、違いが鮮明に見えてきます。
= = =
さらに面白いものを。
現大統領のブッシュのサイトはどんなものだろうと思って、georgebush.comとアドレスバーに入力してみました。すると表示されたのは
Obamaへのネガティブキャンペーン満載な共和党のサイト。本気出してたたきにかかってます。
民主党のサイト(http://democrats.org)でもMcCainへのネガティブキャンペーンは始まっていますが、トップページの画像はやっぱりObamaです。
僕はObamaを完全に支持しているわけではありませんが、どっちかというと彼に勝ってもらいたいと思っています。彼が勝った後のアメリカのほうがずっと見てみたいからです。それに、彼が大統領選に勝った場合、それが意味するのは政権交代のみにとどまらず、政治キャンペーン手法が新しい時代に入ったことを決定的にすると思うからです。
インターネットによる資金集めと支持の拡大。((1)を参照)
ネガティブキャンペーンに頼らなくても予備選に勝てること。
なによりも、ネットで動画を見るという習慣の普及により、演説やディベートのうまさの重要性は間違いなく増加しました。効果的な宣伝に使えるだけでなく、逆に失敗するとその映像はいつまでもYoutubeに残ってしまう。こうした時代の変化にObamaはうまくのっかっていると思えてなりません。
わかりました、認めます。僕はたぶんBarack Obamaを支持しています。まあ僕が支持したところで一票の足しにもなりませんが。でも大統領選のときはアメリカにいるので、ちょっと楽しみです。