Elementarteilchen (Elementary Particles)

ヒッピーの母親が産んだ、父親の違う二人の息子が対照的な性格を持つ人物に成長し対照的な人生を歩む。中心に描かれるのはセックスに対する両極端の態度。種の保存のための再生産という面と、快楽への手段という面の間に恋愛がある…ってそりゃ当然なのだけど、主人公2人はその両極端から徐々に中庸へ近づいていく。愛なんかいらないと思っていたのに、結局は遅ればせながらそれを選ぼうとする。

もう一つ、というか同じ主題の別の側面として描かれるのは生命に対する態度。前半部分で主人公二人がそれぞれ命あるものを粗雑に扱う態度が描写され、しかしそれに変更を迫られる事件がやってくる。

色彩が変化に富んでいて綺麗な映画。オレンジがかったヒッピーの世界、母親の車でドライブ中のウソっぽい緑、しっとりしたアイルランドの草原、口紅とドレスの赤、徹底的に無味乾燥な色しかない病院。