平野啓一郎「かたちだけの愛」(2010)

溜息の出るような、磨き上げられた語り。交通事故で片足を失った女優と、彼女を事故現場で助け出し、さらにその義足をデザインすることになったプロダクト・デザイナーの物語。途中でAimee Mullinsという実在の義足の女優のTED Talkへの言及があるので、読み途中で見るのがお薦め。人間の可能性を押し拡げるようなデザインの力を感じるし、それを現出させる小説の存在を寿ぎたくなる。