コンゴPKOのさらなる疑惑

久しぶりに中身のある記事を。本当は米大統領選についても書きたいんだけど…

http://www.iht.com/articles/2008/05/22/opinion/edbasanisi.php

コンゴ民主共和国に派遣されているPKO(MONUC)のパキスタン兵士が住民に対する性的虐待を行い処罰された事件以降、MONUCは内部監視機構(UN Office of Internal Oversight Services: OIOS)の監視の下にある。しかしこの記事によると事態は改善されたとは言いがたく、それどころか国連がさらなる不祥事を隠そうとしているのではないかとの疑問すら浮かんでくる。

記事を乱暴に要約すると、筆者(Matthias Basanisi - 2007年までOIOSでDeputy chief investigatorを務めた)は「MONUCに所属するパキスタン兵士がDRCの反政府軍将校と取引をし、押収した武器の一部を返還する代わりに金(gold)を受け取っていた」証拠をつかんだ。ところが、OIOSが提出した最終レポートにはこの件は記載されなかった。

機構の上層部でこうした情報が握りつぶされたのはパキスタン及びインド(記事中では特定されていないがインド兵にも何らかの嫌疑がかかっていると示唆されている)がPKOの主要な部隊供出国であり、この2国を怒らせるようなことはしにくいという事情があるのではないかと推測している。

筆者は、「しかしこうした隠匿が明らかになることはPKOそのものの信頼性を全世界で損ねることにつながってしまう」と警告を発している。

コンゴ民主共和国PKOについては去年のゼミで色々調べたこともあり大いに関心を持っている。これが本当だとするなら確かに由々しき事態で、PKO要員の出動を安心して任せられる国が本当に限られてしまう(アフリカ出身の兵士はHIV感染率が高くてこれもまた厄介であると教授が言っていた)。筆者は記事の中で大多数のPKO兵士は高いモチベーションを持って献身的に仕事に取り組んでいるとフォローしているが、PKOの受け入れを紛争当事国に認めさせることがただでさえ難しいなかこうした事件は紛争の解決と平和の安定化をさらに困難にしてしまう。

もう一つゼミで教授が言っていたのは、「多くの紛争地域においてPKOの兵士は現地の経済水準よりはるかに高い給料をもらっており、金目当てで兵士に近づく住民がいたとしてもおかしくない」ということ。他のPKO派遣地域では本当にこの手の問題は起こっていないんだろうか、という疑問が浮かんでくる。

簡単に答えが出るものではないが…とここまで書いてググってみたら、この問題は1年前に既に取り上げられている:

http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/6690155.stm
http://hrw.org/english/docs/2007/07/23/congo16448.htm

今月頭にもHuman Rights Watchがプレスリリースを出している:

http://hrw.org/english/docs/2008/05/02/congo18713.htm

HRWは「自分たちの調査はOIOSが疑惑を過小評価していることを示している」と述べている。さらに、「反政府軍の兵士たち自身がPKOパキスタン兵から武器を手に入れたと言っている(意訳:The militia commanders themselves later publicly stated they had received weapons from Pakistani peacekeepers)」。

大丈夫かPKO