ecological intervention

今日読んだちょっと面白い論文。

Robyn Eckersley (2007), "Ecological Intervention: Prospects and Limits", Ethics & International Affairs 21 (3) , 293–316.

表題は「環境介入」と訳すのが妥当かと思うが、乱暴にまとめると「人道的介入の議論を環境保護にも広げられるんじゃないか」という、前衛的ですらある論文。

人道に対する罪という概念が広く認められるようになって、人道的介入の規範が生まれてきているのであれば、生物の大量絶滅や大規模な環境破壊を「自然に対する罪(crimes against nature)」あるは「エコサイド(ecocide)」と見なせるのではないか?というのが筆者の問題意識。

筆者はminimalist approachをとって(=介入をできる限り狭い範囲で定義して)、国境を越えて環境汚染が広がる際に多国籍の部隊で介入するというケースのみを認めるべきだという立場が最も説得的で、環境自衛(ecological self-defense)として正当化できるのではと考えている。

しかし、こうした「エコ人道的介入(eco-humanitarian intervention)」は普通の人道的介入と同じく、途上国の支持を得られない可能性が高い。

もっとも極端なケースである「人間以外の生物保護のための軍事介入(military rescue of nonhuman species)」は環境哲学の立場からは支持を得られるだろうが、領土主権に関する国際法や政治的規範と真っ向からぶつかっている。


・・・以上が要旨の意訳です。


なんで環境を保護するための軍事的なオプションが検討に値するのかについて、筆者は原子力発電所の管理不備など緊急かつ重大な脅威を与える恐れのある例が存在すること、および国家には国民に対して最低限の生活を営む基盤を与える責任があることを挙げる。



まあ批判するのは簡単ですよね。ちょっとかんがえただけでも

批判1:武力行使を正当化する事由として、環境権の侵害はあまりに弱い。人間以外であればなおさら弱い。

批判2:温暖化による海面上昇などは生存を脅かす脅威かもしれないが、因果関係がはっきりしなあい。

批判3:領土主権の甚だしい侵害である。

くらいは思いつく。


・・・どうにかして反論できないか15分くらい考えてるけど全然思いつかないのでとりあえずここまでで記入。もし思いついたらコメントください。