遅かれ早かれ、北朝鮮の民衆は蜂起する


Foreign Affairs March/April 2008より、韓国の国民大学助教授Andrei Lankovの論考の要旨。

−中国と韓国は経済の自由化が北朝鮮にとって利益になるとするが、こうした主張をする背景にはそれぞれ次のような理由がある。中国は朝鮮半島が分断されていて北朝鮮が緩衝地帯として機能するほうが好ましいと考えており、さらに北朝鮮が内部崩壊して難民が大量に中国へ流入することを恐れている。韓国は南北統一が経済的に耐えがたい負担をもたらすと考えている。2007年、韓国議会の予算委員会に提出されたレポートでは、統一のコストは85兆円から138兆円と推定されている。そしてこのコストも北の住民の所得水準を南の半分に乗せるものでしかない。

中韓は中国型の開発独裁平壌に現れることを望んでいる。そのような体制が北朝鮮の安定を保ちながら徐々に南北間の経済格差を埋めてくれることを期待しているのだ。

−しかし、どちらの国も北に対して影響力を持ちながらその政策を転換させるまでには至っていない。北が改革を拒むのは一見ただのパラノイアの表れに見えるが、これは彼らにとって実に合理的な行動なのだ。北のエリートたちは、最大の脅威は国内にあることを知っており、改革に抵抗するのが国民を押さえ込む最も効果的な手段だとわかっているのだ。改革を行ったら南との格差がより歴然とし、北の国民は自分たちの政府の正当性により強い疑問を感じるだろう。そうすると、北の国民が問題は韓国モデルを採用することで解決されると信じないとも限らない。

金正日の体制はまだ続きうるだろうか?経済が崩壊していることを理由に現体制は持続的でないと主張する向きもあるが、この政府はそんな状態で何十年も持ちこたえてきたのだ。70年代から北朝鮮経済は既におかしくなっていて、ソ連、中国、そして近年は韓国からの援助に依存してきた。北のエリートたちは、外交をうまくやればまた同じことを繰り返して援助を得られると考えているし、そう考えるに十分な理由がある。

−いまのところ北朝鮮は米中間の競争や韓国の統一への恐れを利用して援助を引き出すことに成功してきた。しかしひとたび援助が止まると大規模な飢餓が再度起こる可能性があるが、96-99年の大飢饉ですら国内の政治体制を揺るがすことはなかった。旧い体制のもとで育ち、組織を作る機会を奪われ、外の世界を知らなかった北朝鮮の農民たちは、蜂起することなくただ死んでいったのだ。

−内部崩壊への恐れから、中韓は今後も実質的に無条件で北に援助を続けるだろう。しかし長期的には援助が平壌の体制を揺るがしうる。北の国民は徐々に、いまの自分たちには望むべくもない南の繁栄を目にし、おそらくは、ひどい政治を行ってきた平壌の政権を倒すことでそれに加わりたいと考えるだろう。しかし北の政府が改革を実施しない限りこうした変化は極めて緩慢にしか起こらないはずだ。




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というわけで、目を引くタイトルとは裏腹に現状が一気に変わるとは考えていないらしい。

しかし北の国民にとって蜂起することのリスクってかなり大きいんじゃないだろうか...