ラッキーな一日

午後3時半。荷造りをしてる途中で、パスポートが見当たらないことに気づく。焦りに焦って部屋中をひっくり返し(こんなに焦ったのは久しぶりだ)、30分かかってようやく発見する。5時半の学校発のシャトルバスに乗り、地下鉄の駅へ。空港へ向かう。よく考えたら電車で空港へ行くのは初めてだ。空港から帰ってきたことはあったけど。意外に遠い。6時半頃到着。フライトは7時22分だが、既にチェックインをネットで済ませてあったので直接セキュリティゲートへ向かう。なんと一人も並んでいない。20秒で通過。冬休みの喧噪はなんだったんだ。ゲートに6時50分頃到着。

9時前にワシントンDCに到着。飛行機を降りると摂氏19度。コート来てこなくて正解だった。今回は荷物を預けなくてすむように極力小さくした。スーツも荷物にせず、着て移動している。バックパックしょってブリーフケースもってスーツ、という非常に微妙な格好だ。

空港内のサブウェイで晩飯。8ドルくらい。20ドル札を出してもらったおつりをよく見ると7ドルしかない。5+1+1。ね、これ10ドル札の間違いでしょ、と言って5ドル足してもらう。危ない危ない。食べ終わったのは9時半。

空港からはバスで来い、と宿を予約したウェブサイトに書いてあったが、バスの場所がなかなか見つからない。何人かに尋ねてようやく分かる。看板小さすぎ。

バスに乗っていくらですか、と聞いたがよく聞き取れない。メキシコにいたときの癖でとりあえず足りそうな額を出そうと考え、5ドル札を機械に入れると釣り銭は出ないよ、と言われる。そのときになって初めて1.90という表示が目に入る。

バスは10時頃空港を出発。乗客はほとんど空港で働いてる人な感じだ。バスに乗って少しすると大雨が降ってきた。まじかよ、スーツ着てるのに、と思うがどうしようもない。思えばダラス空港が市内からどれくらい離れているのかも知らないで来てしまった。高速のようなところをしばらく走り、地下鉄の駅に到着。乗客の一人に声をかけられようやく気づいておりる。危ない。バスを降りる頃には雨はまばらになっている。ついてる。

ワシントンDCの地下鉄はかなり深い。エスカレータをえんえん降りてホームに到着。なんとなく見覚えのある風景。たぶんここで10時半くらい。10分ほど電車待ち。1回乗り換えてDupont Circleへ到着。11時20分。雨はあがっている。ついてるついてる。

とりあえずウェブサイトに書いてあった道順にしたがい歩くがなかなか見つからない。後から考えればDCの地図を持っているのだからそれで確かめればよかったのに。11時半ごろ、薬局がまだ開いていたので石けんなどを買う。

11時55分、ようやく完全に迷ったことに気がつき宿に電話をかける。やや訛った男性の声。あのさ、俺もうここで1時間も待ってんだよね。チェックインは11時までなんだ。頑張って早く来てくれよ。と言われる。わかりました、と言って電話を切り、通行人に2回くらい道を聞いてようやくたどりつく。12時2分。

宿の前で自転車の鍵を外してるひょろりと背の高いアフリカ系の男性がいる。あ、jjsmith?。そうです、さっき電話した。あー俺マジでもう帰るところだったよ。俺この仕事ぜってーやめてやる。来な。

フロントに入るが、彼の口から衝撃の発言。あのさ、別のところ行ってもらうから。は?いやだからね、俺はここでずっと待ってたわけよ。プライスさんって人もちょっと前に電話して来て、その人もまだ来ねえからさ。そしたらあんたが来たわけ。チェックインは11時までだってウェブサイトのそこら中に書いてあるだろ?でも俺が悪いわけじゃいやお前が悪いよ。だって時間通りこなかったんだから。んー確かにそうだ。分かりました。もうドミトリーには他の人入れちゃったからさ。Foggy Bottomにうちのもう一つの宿があるから。いま電話するからちょい待ち。

あ、もしもし、マフードの番号教えて下さい。

...(マフード氏に電話をかけるも留守電になった模様)マフード、これを2、3分のうちに聞いたら折り返し電話ください。

なあ、普通ここで働いてるやつは時間来たら帰っちゃうんだぜ?それを俺はなんかぴんと来て、今日はまるまる一時間待ってたんだよ…(階段にたむろするフランス人の女の子たちにむかって)ねえ、ちょっと。他のお客さんいるからさ、静かにしてくれよ。頼むぜ。

(電話が鳴る)はい。(以下2分ほど、外国語での会話。何語かすら分からなかったが、いまから思い返すとスワヒリ語だったかもしれない)。

(無言でパソコンをカタカタと打ち始める。2分ほど経過。しびれを切らして尋ねる)んで、俺は他の宿に移るんですか?いや、ここの130ドルの部屋をやるよ。は!?プライスさんって人の予約してた部屋だったんだけど、こねえからさ。今日残ってる唯一の部屋だ。いまオーナーにどうしたらいいか聞いたわけよ。そしたらあんたにこの部屋をやれって。マジでいい人だよ。



…というわけで、ダブルベッド一つシングルベッド一つの広々として至極快適な部屋を占領しております。明日からはドミトリーに移るのですが、一晩ここに泊まれただけでラッキーです。

受付の男性は結局チップも受け取らず、自転車に乗って帰って行きました。感謝感謝。